ここには最初、松崎に住むお義父さんに連れてきてもらった。以来、明里が生まれてからも度々行っている。
明里が生まれた2004年は、『世界の中心で、愛をさけぶ』が流行っていて、松崎町はテレビドラマ版のメインロケ地だった。「あじさいの丘」は「牛原山町民の森」にあり、ここからの眺めは印象的なシーンとしてドラマで使われた。ただ、僕はまだ、あじさいが咲く季節に行ったことはない。
僕の場合、ドラマのストーリーよりも、見覚えのあるロケ地の方が気になってしまった。「綾瀬はるかと山田孝之が座ってる堤防って、あの辺りか。」とか「写真館はあの建物が使われてるのか。」「友達のバイト先はあそこのお店ね。」など。そのためか、ドラマを見ながら泣くことはなかった。

また、松崎港あたりを散歩してたら、楽しそうに小さな自転車を乗り回す山田孝之や、通り過ぎるワゴン車の助手席に座る三浦友和を目撃した。この時は「夕日待ちでーす」と言う監督だかディレクターらしき人の声が聞こえた。曇りがかった西の空を見ながら、ドラマの撮影って大変なんだな、と思った記憶がある。
テレビ放送後、ドラマの公式HPを見ていたらキャストのコメントが載っていた。前向きなコメントが多い中、三浦友和が「ロケ地が遠すぎる」とボヤいていた。確かに当時は伊豆縦貫道がまだ開通しておらず松崎まで結構時間がかかった。でも今は、伊豆縦貫道は東名高速とつながったし、縦貫道をおりた後の一般道路も拡幅工事が進んだりして走りやすくなっている。

若林泰弘