明里から教わったもののひとつに「トロトロだんご」がある。
夏になると松崎海岸の砂浜で明里と一緒にトロトロだんごをつくった。
海水に浸されてトロトロになった砂を両手ですくい、乾いた白砂をまぶしながら丸めていく。保育園の先生から教わったつくり方を明里が説明してくれた。裸足になって汗びっしょり、泥だらけになって保育園で遊んでいる明里の様子を思い浮かべながらつくった。
出来上がりは、なんてことのない砂団子だ。どこからともなくフンコロガシがやってきて、転がして持って行ってしまいそうな代物だ。でも、明里とつくるのは楽しかった。

明里と一緒につくっていると気持ちが和らいだ。
明里は小さな手で教えてくれた。
久しぶりに今度また、一緒につくろう。
・・・
「イヤだ。」という声がする。

若林泰弘