建長寺に着いたのは、わりと朝早い時間だったので人出はまだ少なかった。(2022年10月2日(日)撮影)

建長寺(けんちょうじ)は、鎌倉市山ノ内にある禅宗の寺院で、臨済宗建長寺派の大本山である。鎌倉時代の建長5年(1253年)の創建で、開基(創立者)は第5代執権北条時頼である。鎌倉五山の第一位。境内は「建長寺境内」として国の史跡に指定されている。
Wikipediaより抜粋

建長寺には国宝とされる「梵鐘(ぼんしょう)」がある。梵鐘の案内板(下の写真左側)には次のように書かれている。
「鐘つけば銀杏ちるなり建長寺」
この俳句は明治二十八年(一八九五)九月、夏目漱石によって作られました。親友の正岡子規は、この句を参考に
「柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺」 を作りました。

この俳句が作られた頃は既に太陽暦が採用されていたはずである。百年以上前の九月に落葉の句が詠まれていたと思うと、昨今の九月の暑さからして、暦との季節感のズレを感じる。夏目漱石は深まる秋を想像して詠まれたのかもしれないが。

建長寺には重要文化財が多く、建造物だけでも見ごたえがある。

法要・座禅・研修の場として使われているという「方丈」(龍王殿)に上がらせていただくと、庭園「得月楼」を鑑賞をすることができる。Wikipediaによるとこの庭園は夢窓疎石の作といわれる。

また、方丈では写経会も催されているようだ。

せっかく拝観料(500円)を払っているので「半僧坊」とその先にある展望台まで行ってみることにした。

建長寺の境内は奥が深かった。

階段を登り続けると息が上がってしまい、余計に奥が深く感じられた。奥が深いという言葉は建長寺から生まれたのではないか、という気がしたくらいだ。

由緒あるお寺に参拝に来たつもりが、展望台まで行くとハイキングに来たような感覚になってくる。実際、軽登山スタイルで参拝する人がいるのも納得できる。

「鎌倉五山詣で」最初の建長寺で、境内を拝観するのにこれほど時間と体力を要するのなら、今日中に五山を回りきれないのではないかという気がしてきた。そのため、他にも見どころがあるはずなのを断念して建長寺を後にすることにした。

後になってみると、建長寺でもっとじっくり時間をかけて回ったとしても、一日で五山を巡ることはできた。臨済宗建長寺派の大本山であればこそ、これだけ見どころがあるのだから、慌てて後にするのは勿体なかったと思う。

ただ、その一方で、初めての鎌倉五山詣でにも関わらず、すべてを一日で余すことなく見て回ろうとしたのは浅はかだったとも思う。
若林泰弘