堂ヶ島にも最初は、お義父さんに連れてきてもらった。義父母宅から車で15分くらいで着くとのことで、日が沈む頃合いを見計らって出かけた。
とてもきれいな夕陽だった。
以来、ちょくちょく夕陽を眺めに行っている。ちょうど、お義母さんが夕食の支度をしてくれている頃に出て、帰って来たら夕食をいただくという気楽な立場だ。義父母宅では、いつも贅沢に時間を過ごさせていただいていることに感謝しなければならない。

「こんな風景を見て育てば、埼玉の風景で感動なんてしないわな。」と妻に言ったことがある。埼玉の近場の山や川へ行っても、妻はいつも無表情なのだ。すると妻は「わー、きれいなふーけー。」と思い出した時だけ言うようになった。
やれやれ、と思う。村上春樹っぽく。

若林泰弘