冠雪の時期、快晴の日は富士山が映える。結婚して20年以上たち、雲見は、その間、教えてもらったビュースポットのひとつである。

 天候に恵まれない時もあるが、その時は、また撮りに来ようと思える。

 雲見海岸のすぐ近くには「烏帽子山」と呼ばれる山があり、結婚してすぐの頃、お義父さんに連れてきてもらった。烏帽子山は標高160m位と決して高くはないが、写真のような急傾斜の階段が続いている。その時のお義父さんは足の怪我が回復する前だったはずだが、よく登れたなと思うくらいキツい階段である。

 山頂付近に「雲見浅間神社 御嶽浅間宮」というお社があって、その先にちょっとした展望台がある。そこから、お社の瓦屋根越しに雲見海岸を見下ろせる。また、天気のいい日は富士山を望むことができる。

「浅間」の名がついた神社は富士山の女神・木花咲耶姫命(このはなさくやひめのみこと)を祀ることが多いですが、雲見浅間神社では姉の磐長姫命(いわながひめのみこと)を祀っています。醜女だが長寿の徳を持つこの女神は、美人で繁栄の徳を持つ妹に嫉妬しているとされ、地元雲見では、「この山で富士山を褒めると怪我をする」などの言い伝えがあります。

松崎町ホームページより引用

 こんな言い伝えがあることも知らずに、ひとりで再度、烏帽子山を登った。展望台から写真を撮った時は、幸い雲が富士山を隠し続けていたので、僕は富士山を褒めなかった。むしろ「恥ずかしがらずにさっさと顔を出せよ。」と悪態をついた気がする。片や、お義父さんはいい人なので、この山で富士山を褒めてしまったに違いない。

若林泰弘

投稿者 akari