次に、それぞれの紙幣に登場している肖像画の人物像にスポットを当ててみる。

◎100円札の板垣退助・・・

 板垣退助は、文明開化の明治初頭における自由民権運動を主導し、我が国の議会制度の基礎を作った人物で「板垣死すとも自由は死せず」がある。現在も国会議事堂内中央広場に伊藤博文、大隈重信、板垣退助の3人の像が立っている。

◎500円札の岩倉具視・・・

 岩倉禎見は、王政復古を主導し討幕を果たした後、明治の新政府の基礎作りを行うなど近代化に活躍した。外務卿をしていた時に岩倉使節団のリーダーとして欧米を訪問し日本と欧米の違いを痛感し日本の近代化を推し進めるきっかけを作った。

◎1000円札の伊藤博文、夏目漱石、野口英世・・・

 伊藤博文は、大日本帝国憲法制定の中心人物であり、日清講和条約の起草に当たった他、立憲政友会を結党して初代内閣総理大臣に就任するなど近代日本の政党政治の道を開いた。

 夏目漱石は、教育者であり小説家で近代文学史上における大文豪と言われる。「吾輩は猫である」、「こころ」、「彼岸過迄」、「坊ちゃん」、「明暗」などは教科書にも登場する。

 野口英世は、黄熱病の病原体治療薬を発見しアフリカで猛威を奮っていた黄熱病を退治した世界的にも有名な細菌学者。他に小児麻痺、狂犬病、トラコーマなどを発見している。

◎5000円札の聖徳太子、新渡戸稲造、樋口一葉・・・

 聖徳太子は、飛鳥時代(西暦600年頃)の思想家・宗教家・政治家で十七条の憲法、遣隋使を派遣、冠位十二階の制定などで歴史の教科書に必ず登場する、摂政も担った人物。

 新渡戸稲造は、「武士道」を記した作家であり、思想家・経済学者で国際連盟の事務次長も務めた外交官。また、教育者でもあり札幌農学校・京都帝国大学で教授を務めた他、東京女子大学初代学長を務めた。

 樋口一葉は、生活に苦しみながら「たけくらべ」、「大つごもり」、「にごりえ」、「十三夜」などの秀作を発表した女流作家。女性の地位向上「フェミニズム運動」を高めた文化人。

◎10000円札の聖徳太子、福澤諭吉・・・

 聖徳太子は、前5000円券の処で紹介したとおり。尚、聖徳太子は日本銀行券に肖像画として戦後5回採用されている。

 福澤諭吉は、啓蒙思想家で「天は人の上に人をつくらず、人の下に人をつくらず」や「ペンは剣よりも強し」は特に有名であり、教育者としても蘭学塾(今の慶応義塾大学)を開設した他、「学問すすめ」、「西欧事情」、「脱亜論」、「文明論之概略」などの著書がある文化人。

~ つづく ~

投稿者 akari